
米国関税がホンダの業績に大打撃
2025年5月13日、ホンダは2026年3月期の業績予想を発表し、純利益が前年同期比で70%減の2,500億円(約17億ドル)になると予測しました。営業利益も59%減の5,000億円(約33.8億ドル)に落ち込む見通しです。この大幅な減益の主因は、米国が導入した新たな自動車関税によるものです。
関税による財務的影響
ホンダの三部敏宏社長は、アナリストとの電話会議で、2026年3月期における関税の影響が6,500億円(約44億ドル)に達すると述べました。特に、約55万台の輸入車に対する関税が3,000億円の損失をもたらすと予測されています。ホンダは、これらのコスト増加を相殺するための対策を講じており、約2,000億円の回収を見込んでいます。
カナダでのEV投資計画の延期
ホンダは、2024年4月に発表したカナダ・オンタリオ州でのEV関連投資計画を、EV市場の成長鈍化を理由に少なくとも2年間延期することを決定しました。この計画には、EVバッテリー工場や車両組立工場の再構築、バッテリー部品工場の建設などが含まれており、総額150億カナダドル(約107億米ドル)の投資が予定されていました。
米国での生産体制の強化
関税の影響を軽減するため、ホンダは米国での生産体制を強化する方針を示しています。具体的には、日本で生産していたシビック・ハイブリッドの生産をインディアナ州の工場に移管し、カナダで計画されていたCR-Vの生産もオハイオ州またはインディアナ州の工場に移すことを検討しています。これにより、関税の影響を最小限に抑えるとともに、米国市場への迅速な対応を図る狙いです。
業界全体への影響と今後の展望
ホンダだけでなく、日産やトヨタなどの他の日本の自動車メーカーも、米国の新たな関税政策による影響を受けています。特に、輸入車に対する25%の関税は、各社の利益を大きく圧迫しています。今後、各社は生産拠点の見直しやサプライチェーンの再構築を進める必要があり、業界全体での対応が求められています。