
はじめに
2025年5月、自由民主党(LDP)は、インド太平洋戦略に関するタスクフォースを再編成し、党内の保守派重鎮が結集する場となりました。この動きは、石破茂首相の政権運営に対する批判的な声が高まる中、党内の結束を図りつつ、日本の外交戦略を再構築する試みとされています。
タスクフォース再編の背景
LDPは、2016年に安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」戦略を推進してきましたが、近年の国際情勢の変化や党内の政治的動揺により、戦略の見直しが求められていました。特に、2024年の総裁選で石破茂氏が首相に就任して以降、党内の保守派と石破政権との間に緊張が生じており、外交戦略の再構築が急務とされていました。
保守派重鎮の結集
再編されたタスクフォースには、麻生太郎元首相が議長として就任し、高市早苗元経済安全保障担当相が上級メンバーとして参加しました。また、元国家安全保障局長の秋葉剛男氏が、戦略の起源と展望について説明を行いました。この他、元経済産業相の西村康稔氏や元自民党政調会長の萩生田光一氏、元幹事長の茂木敏充氏など、安倍派に属する有力議員も出席し、計57人の議員が会合に参加しました.
麻生太郎氏の発言
麻生氏は、会合の冒頭で「我々を取り巻く環境は、平時から有事に近い状況へと劇的に変化している」と述べ、日本が将来に向けて何をすべきかを示す大戦略の必要性を強調しました。また、台湾海峡を含む地域の平和と安定を確保するためには、抑止力の強化と戦う意思を示すことが重要であると述べました。
高市早苗氏の立場
高市氏は、2024年の総裁選で石破氏に敗れたものの、麻生氏の支持を受けて決選投票に進出しました。彼女は、会合後の記者会見で「安倍元首相が築いた外交遺産を継承し、明確なビジョンを外交分野で示す必要がある」と述べ、石破政権の外交姿勢に対する懸念を表明しました。また、消費税減税に対する石破氏の慎重な姿勢についても批判的な見解を示しました.
石破政権への影響
石破政権は、就任当初から党内の保守派との関係が緊張しており、今回のタスクフォース再編は、党内の結束を図ると同時に、石破政権に対する圧力を強める動きと見られています。特に、2025年7月に予定されている参議院選挙でLDPが敗北した場合、石破氏の政権運営に対する批判が高まり、政局が不安定化する可能性があります.
今後の展望
タスクフォースの再編は、LDP内の保守派が結集し、外交戦略の再構築を図る重要なステップとなります。今後、タスクフォースがどのような提言を行い、石破政権がそれにどのように対応するかが注目されます。また、党内の結束を維持しつつ、国際社会との連携を強化するための具体的な施策が求められます.
このように、LDPのインド太平洋戦略に関するタスクフォースの再編は、党内の保守派が結集し、外交戦略の再構築を図る重要な動きとなっています。今後の展開に注目が集まります。