
2025年5月13日、日産自動車は大規模な経営再建計画「Re:Nissan」を発表しました。この計画には、2027年度までに世界中で2万人の人員削減と、17の生産工場のうち7つを閉鎖することが含まれています。これにより、同社の製造拠点は10か所に減少し、製造能力は大幅に縮小されます。
過去最大級の赤字:6709億円の純損失
日産は、2024年度に6709億円(約45億ドル)の純損失を計上しました。これは、同社の歴史の中で過去3番目に大きな赤字となります。主な要因として、中国市場での販売不振や米国市場での割引販売の影響、そして運営コストの増加が挙げられます。
グローバルでの人員削減と工場閉鎖
今回の再建計画では、2024年度から2027年度にかけて、全世界で2万人の人員削減が予定されています。これには、2024年11月に発表された9000人の削減も含まれます。対象となるのは、製造部門、販売・管理部門、研究開発部門などの正社員および契約社員です。また、17の生産工場のうち7つが閉鎖される予定であり、日本国内の工場もその対象に含まれる可能性があります。
コスト削減と効率化への取り組み
日産は、2026年度までに5000億円(約33.8億ドル)のコスト削減を目指しています。これには、研究開発施設の統合や、マーケティング活動の効率化、共有サービスの拡大などが含まれます。また、従業員の平均時間当たりコストを20%削減することも目標としています。
CEOのコメントと今後の展望
日産のCEOであるイヴァン・エスピノーサ氏は、「困難な状況下で、迅速かつ果断な行動が求められている」と述べ、全社員が一丸となって再建計画を実行する重要性を強調しました。同氏は、2026年度までの黒字化を目指し、持続可能な成長への道筋を描いています。
市場環境と競争の激化
日産は、特に中国市場での販売不振に直面しています。過去4年間で販売台数が半減し、BYDやGeelyなどの中国メーカーとの競争が激化しています。また、電気自動車(EV)やハイブリッド車の開発でも、競合他社に後れを取っている状況です。
パートナーシップと今後の戦略
日産は、フランスのルノーとの提携関係を見直し、日本のホンダとの合併交渉も失敗に終わりました。現在、新たな産業パートナーを模索しており、今後の戦略として、製品ラインアップの見直しや市場戦略の再定義が求められています。
日産の「Re:Nissan」計画は、同社が直面する財務上の課題に対応し、持続可能な成長を目指すための大規模な取り組みです。人員削減や工場閉鎖、コスト削減などの施策を通じて、2026年度までの黒字化を目指しています。今後の市場動向や競争環境の変化に対応しながら、日産がどのように再建を進めていくのか注目されます。